「世界史受験で用語集は使った方が良いのかな」
「使う場合、どうやって使えば良いの」
上記のように悩んでいる受験生も多いと思います。
そもそも、世界史用語集は世界史の用語を辞書的に説明したもの(書籍やアプリ)で、
- 高校世界史で出てくる用語の内容が詳しく解説されている
- 用語ごとに使用頻度が書いてあり、用語の重要度がわかる
ようになっています。
世界史用語集は確かに使い方が難しく、必要と言う人・いらないと言う人がそれぞれいます。
どちらの言い分も間違ってはいませんが、しっかり根拠を交えて話さないと受験生が混乱するかと思います。
そのため、本記事では「受験において志望校から逆算した際に世界史用語集は必要なのか」、そして「どうやって使えば志望校に効果的か」を解説していきます。
この記事を書いている僕は、受験指導歴は約9年、元高校教員で最難関クラスの担任であり指導した生徒には、コース初の早稲田合格者、偏差値73.6や共通テスト(旧センター試験)で95点、MARCH以上の私大入試で9割以上をとり、志望校に合格した生徒がいます。
実際に用語集を使った生徒・使ってない生徒の話やこれまでの知見をもとに話していきますので、みなさんが志望校合格に近づけるような話をしていきます。
世界史用語集を使う必要が無い人/使うべき人
世界史用語集は使う必要が無い人/使うべき人について紹介していきます。
受験をしない/GMARCH未満の偏差値の受験であれば必要なし
用語集が必要が無い人は、下記の2パターンの人です。
用語集が必要ない人
- 受験をしない人
- GMARCH未満の偏差値の大学のみ受験する人
詳しく説明していきますね。
受験をしない人にとってはほとんど必要になる場面がありません。
基本的に用語集は、わからない世界史の用語を調べるために使うことが大半です。
しかし、テスト勉強をするにしても、わざわざ用語集を開かず先生に聞いたり、今ではネットで簡単に調べたりすることができます。
そのため、わざわざお金をかけて用語集を買う必要はありません。
一方で受験をする人でも、GMARCH未満の偏差値の大学のみ受験する人は必要ないです。
なぜなら、その偏差値の大学を受験する場合、用語集以前に教科書や一問一答の基本語句を覚えるだけでも、十分合格できるからです。
ちなみにこのように言うと、「でも、教科書の単語や一問一答の意味がわからない場合、用語集を買った方が良いんじゃないんですか?」と、疑問に思う人もいるでしょう。
確かに、理論的にはこれはとても正しいです。
ただ「大学受験で合格すること」に絞った場合、経験上そうでもないと僕は思います。
というのは、GMARCH未満を受ける生徒が用語集に手を出して、
- 基礎も固まっていないのに情報量が多すぎて混乱してしまう
- 用語集をめくることが目的になり基本用語を覚えていない
という状況を何度か見てきました。
実際、使わずともGMARCHに合格した生徒もいたのでGMARCH未満ならなおさら必要がないかな、と個人的には思います。
※後述しますが、学部よってGMARCHは論述問題があったり、正誤問題が難しいことあるので基本的にあった方が良いです。
もちろん欲しい人は買っても良いです。
ただ上でもあげた、
- 基礎も固まっていないのに情報量が多すぎて混乱してしまう
- 用語集をめくることが目的になり基本用語を覚えていない
という状況に注意して使ってください。
受験時に世界史用語集が必要な大学一覧
では、どんな大学を受験する際は用語集が必要なのか、表にして紹介します。
受験時に世界史用語集が必要な大学
GMARCH中下位/関関同立 | 独学/もしくは本人が欲しいなら必要 |
GMARCH上位/早慶上智 | 必要 |
難関国公立 | 必要 |
最難関国公立 | 必要 |
ちなみに、「GMARCH上位」や「難関国立」がどの大学を指すかというと、このサイトでは、
- GMARCH中下位=河合塾(パスナビ)で偏差値62未満のGMARCHの学部
- GMARCH上位=河合塾(パスナビ)で偏差値62以上のGMARCHの学部
- 難関国立=名古屋・筑波・千葉・東京外語・東京都立・京都府立大学
- 最難関国立=東京・京都・一橋・大阪・九州
と定義しています。
上記の大学には、基本的に「用語集は必要」です。
ただGMARCH中下位は例外で、独学/もしくは本人が欲しいなら必要だと、僕は思っています。
理由は必要がない人と一緒で、
- 基礎も固まっていないのに使うと情報量が多すぎて混乱してしまう
- 用語集をめくることが目的になり基本用語を覚えていない
ことがあるからです。
ちなみに僕が教えて立教に受かった生徒は、僕が用語の意味を授業中や質問されたときに説明していました。
なので、答えてくれる先生が身近にいる場合はわざわざ必要ないと思います。
しかし、聞く先生がいない独学の人、もしくは用語の意味がいつもわからず混乱しているため手元に置いておきたいという人は買うことをおすすめします。
使う用語集は?【山川の『世界史用語集』のみで問題なし】
使う用語集は、基本的に山川出版社の『改訂版 世界史用語集』(全国歴史教育研究協議会(編))のみで問題ありません。
理由としては、私立最難関の早稲田でも山川教科書・山川用語集だけでほとんどの問題が解ける(または合格点が取れる)からです。
どういうことか、理由を詳しく説明します。
細かい話ですが、次にもつながる重要なことなので、ちょっと頑張って聞いてもらえれば嬉しいです。
というのも、世界史用語集は基本的には世界史の用語を辞書的に説明した本なので、教科書や一問一答よりも細かい知識の説明が丁寧に書いてあります。
そして、用語集を有効的に活用できる場面は、私立大学の細かな知識問題や論述問題を解くときです。
上で紹介した早稲田大学の問題では、日本でも屈指の細かな知識や正誤問題が出題されます。
なので、早稲田の問題が教科書+用語集で足りるのであれば、他の大学を受験する際もわざわざ多くの用語集を買う必要はないだろう、ということが僕の結論になります。
実際にそれを調べた先生がいらっしゃって、世界史の予備校講師としても有名な鈴木悠介先生です。
この動画で紹介されている早稲田社会科学部はすべてマーク問題で、細かな正誤・知識問題が問われます。
早稲田社学でさえ「すべての問題が教科書+用語集だけで根拠を持って解け」てしまうのです。
社学の世界史の合格平均点は基本的には6割ほどなので、仮に満点なら十分すぎる点数。
受験生にとっては、分散させずに集中して一冊の用語集をやりきった方が学習しやすいと思うので、僕は山川一冊で問題ないと思っています。
山川世界史用語集の使い方
では、実際に山川用語集をどうやって使ったら良いのか、詳しく解説していきます。
①わからない用語が出てきたとき、辞書して使う
1つ目は1番オーソドックスな、「辞書としての使い方」です。
やり方はシンプルで、「世界史の勉強中にわからない用語の意味や内容を調べるときに使う」だけです。
恐らく多くの受験生がこの方法で利用しているでしょう。
②用語集の内容を「読み込み」で覚えるレベルで使う
次が上級編、「読み込み」で覚えるレベルの使い方です。
この方法では、教科書レベルではおさえられない細かい内容を理解・暗記することが目的です。
方法を伝える前に、この「読み込み」レベルを必要とする受験校は早慶のみです。
他の大学はオーバーワーク気味になるので、僕としてはおすすめしません。
そして、始めるにあたって前提条件があります。
共通テストの模試や過去問で85%以上(ギリギリ80%、欲を言えば90%以上)取れるようになってから始めてください。(また時期としては、早慶受験の3ヵ月前である11月には始めてください)
なぜなら、「読み込み」は「教科書レベルではおさえられない細かい内容を理解・暗記することが目的」であるため、教科書レベルの基礎ができていないと、用語集を丸々暗記することになり効率が悪いからです。
なので、始める際はまず教科書レベルが出来るようになったと言える、共通テストの模試や過去問で85%以上(ギリギリ80%、欲を言えば90%以上)を取ってください。
また早慶を受ける場合は、最低でも11月(早慶受験3ヵ月前)からは始めれると間に合います。
そして、下記が具体的なやり方・勉強法です。
「読み込み」の具体的な勉強方法
- 最低でも3週する
- 大枠のやり方は、「用語を読む・重要個所に線を引き、自分で説明できるようにする」(場所や国・資料・絵画が出てきたら思い出しながら読む、年号は重要語句のみ)
- 1周目では、用語の知らない意味や内容が出てきたら、線やマーカーでチェックを引きながら読む
(※ここが1番重要、2周目の下準備) - 常に用語と用語の繋がりや歴史の流れを意識しながら自分で説明できるように読む
(※作業にならないように) - 2周目では、1周目でチェックを引いた箇所を意識しながら読み込んでいく
- 3周目では、流れと暗記を意識して読み込んでいく
- 覚えていなければ、上記を続ける
(教科書レベルが完璧であれば3周でも効果あり)
この方法が出来れば、早慶の世界史でも8割や9割以上を取ることができると思います。
実際、youtube上にも似ている方法で高得点を取った人がいるので、参考にしてみてください。
早慶志望者は世界史用語集を「読み込み」した方が良い
僕は基本的に早慶受験の生徒にのみ、用語集の読み込みをおすすめしています。
その理由や始める時期、読み込みがおすすめの学部について紹介します。
早慶志望が世界史用語集を「読み込み」した方が良い理由
早慶受験生が読み込みをした方が良い理由は、2つです。
早慶受験生が読み込みをした方が良い理由
- 早慶の細かい正誤問題・知識短答問題にも太刀打ちできるから
- 教科書+用語集だけでも、世界史で圧倒的な点数が取れるから
早慶の世界史が難しい理由の1つは正誤問題です。
特に、早稲田は正誤問題が解けなければほぼ間違いなく受かりません。
(社会科学部なんかは、すべてマークのほとんど正誤問題ですからね)
ただ、そんな難しい早稲田の問題でも、教科書+用語集だけでほぼ網羅できるので、用語集を使わない手はありません。
(※詳しくは、前述の使う用語集は?【山川の『世界史用語集』のみで問題なし】で紹介しています)
早稲田で特に「読み込み」をした方が良い学部
「でも先生、そんなにいろいろやる余裕は無いです…」という受験生もいるでしょう。
そんな受験生のために、「この学部だけはやっておけ!」という学部のみ紹介します。
少なくとも早稲田の場合、法学部・商学部・社会科学部・教育学部・人間科学部は読み込みをした方が良いです。
なぜなら難しい正誤問題が出題されるからです。
(本当に切羽詰まっているなら人間科学部は無しでも良いですが、世界史の配点が早稲田の中では高いのでやった方がよいです)
正直、文学部と文化構想学部は問題自体そこまで難しくないので、教科書レベルを極めた方が対策になります。
(ただ、問題が簡単な分、毎年高得点の争いになります)
なので、法学部・商学部・社会科学部・教育学部・人間科学部を受ける場合には、用語集を活用してください。
いつから「読み込み」をした方が良いのか
上でも紹介しましたが、重要なのでもう一度伝えておきます。
早慶志望で読み込みをする場合、教科書の基本用語を覚えてから始めましょう。
基準としては、共通テストの模試や過去問で85%以上(ギリギリ80%、欲を言えば90%以上)取れるようになってから始めてください。
ただ、それを待ってあまりに遅くに始めても間に合わないので、遅くとも11月(早慶入試3か月前)には始めてください。
「読み込み」が終わったら、過去問や正誤問題対策がおすすめ
読み込みがある程度終わったら、実際に過去問や正誤問題対策で演習をすることがおすすめです。
おそらく相当実力がついているのて、あとは実践を積んで本番に備えましょう。
もし、正誤問題の具体的な対策方法がわからない場合は、世界史受験で合格点~9割取るための【正誤問題対策】(私大編)の記事で解説しています。
注意点:国立の併願で早慶を受ける場合はバランスを考えて使う
ただ、注意点があって国立の併願で早慶を受ける場合は、バランスを見て使うようにしましょう。
というのも、早慶を受けるレベルの生徒は、国立でも旧帝大以上を受けることが多いと思います。
その際、「二次試験で世界史が無い」や「二次試験の世界史の配点が低い」などの場合、用語集は時間が足らなくなる可能性があります。
この見極めは難しいので、聞きたい場合はTwitterでDMをもらえれば答えます。
用語集と一問一答はどっちを使えば良いの?
よく「用語集と一問一答はどっちを使えば良いですか」という質問があるので、答えておきます。
結論としては、「どちらも使う」がおすすめです。
「そんなに出来ないから困ってるんです!」というツッコミが飛んできそうなので詳しく説明しますね(笑)
基本的に僕はこのサイトで、一問一答をアウトプット用の問題集としておすすめしています。
※詳しくは「受験のプロが徹底解説!共テから東大までの世界史独学法!」>「志望校対策のための世界史独学勉強法」の記事で解説。
また、用語集は受験時に世界史用語集が必要な大学一覧でも説明しましたが、基本的にGMARCH/早慶上智/難関国立/最難関国立しか必要ありません。
しかも、早慶志望以外は辞書として使うことをおすすめしています。
なので、使うにしても早慶志望の人だけ「一問一答をできるようにした後、用語集を読み込む」と思っていれば大丈夫です。
わかりやすく表にすると下になります。
志望校 | 一問一答 | 用語集 |
---|---|---|
GMARCH/上智/難関国立/最難関国公立 | アウトプット用に使う | 辞書として使う |
早慶 | 〃 | 読み込みで使う |
上記以外の大学 | 〃 | 必要なし |
一問一答と用語集に迷ったら自分の志望校に合わせて使ってみることがおすすめです。
世界史も含めた早慶対策がしたい人におすすめの塾
ここまで早慶の世界史対策を詳しく書いてきましたが、説明しただけで実際にできる人もいれば、「もっと詳しく説明して欲しい」という人もいます。
そんな人のために、下記の記事では早慶対策のための塾についてまとめてみました。
「塾に通って先生と進めていきたい」・「世界史以外も対策したい」と言う人は、参考にしてください。
受験で世界史用語集を極めて、早慶でも8割9割以上を目指せ!
世界史の用語集は一見とっつきにくいですし、難しそうに見えますが、適切に使えば素晴らしい参考書になります。
特に早慶を受ける場合は心強い参考書になるので、志望している人でまだ持っていない人は買うことをおすすめします。
その他、各大学の細かい対策を知りたい人は、受験のプロが徹底解説!共テから東大までの世界史独学法!へ。
正誤問題対策を知りたい人は、世界史受験で合格点~9割取るための【正誤問題対策】(私大編)がおすすめです。
また、早慶の全体的な受験対策をしたい場合は、塾のレベルは低い?【早慶に合格できるおすすめ塾】がおすすめです。
以上、もっちゃんでしたー!
※日本史にも同じ用語集がありますが、科目によって使い方が異なるので、東大受験で日本史もやっているという人は、日本史は別に使い方を調べてみてください。